キヤノンの敗因とニコンの勝因
口径44mm、フランジバック46.5mmとなっています。
一方、キヤノンはαショックでマウントを変更し、
口径54mm、フランジバック44mmのEOSマウントを採用しています。
一般にフランジバックが短い方が広角レンズの設計は有利であり、
口径が広い方が明るいレンズの設計と、周辺減光に有利なはずです。
先行してフルサイズ機を展開していたキヤノンは比較的低価格で
フルサイズ機を市場に投入することに成功しましたが、
特定レンズとの組み合わせでの周辺解像度は
私も導入を躊躇するようなレベルでした。
これに関してはオリンパスが、
デジタルカメラで使用するイメージセンサーは、
斜めに入ってくる光を十分に拾えないために、
従来のシステムを使用すると周辺画質が低下すると唱えていたために、
そう言うものか…と思っていました。
しかし、ニコンのD3は、聞く限り周辺の解像度の劣化は抑えられています。
少なくともマウントの制約においては、あらゆる点で不利なはずのニコンは、
どうやってこの魔法を実現したのでしょう?
…秘密はどうやらレンズにあるようです。
AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G EDのMTF曲線を見ると、
広角端絞り開放、画面中心より20mm時の、
空間周波数10本/mmの特性値は、放射方向が0.85、同心円方向が0.9
空間周波数30本/mmの特性値は、放射方向が0.53、同心円方向が0.45
程度ですが、
EF16-35mm F2.8L II USMのMTF曲線は、
広角端絞り開放、画面中心より20mm時の、
空間周波数10本/mmの特性値は、放射方向が0.45、同心円方向が0.53
空間周波数30本/mmの特性値は、放射方向が0.13、同心円方向が0.25
に過ぎません。
しかも一番端は0に向かってまっしぐらです(汗)
他でもないキヤノンのMTF曲線の見方によると、
空間周波数10本/mmが1に近いほどレンズの抜けがよく、
空間周波数30本/mmが1に近いほどシャープなレンズで、
空間周波数10本/mmのMTF特性値が0.8以上で優秀、0.6以上で満足な画質…
…とのことですが、
キヤノン誇る大三元ズームの最新のEF16-35mm F2.8L II USMでも絞り開放時のフルサイズ機の周辺では満足な画質が得られないことを示します。
もちろんMTF曲線でレンズの性能全てが語れるわけではありませんが、
開放での周辺解像度においてここまで差があれば、
フルサイズの周辺画質の勝負ははじめから見えています。
つまり、まじめにレンズを造ってきたのがニコンの勝因ですね。
ちなみにフルサイズで評判が芳しくない、
EF24-105mm F4L IS USMのMTF曲線を見ると、
広角端絞り開放、画面中心より20mm時の、
空間周波数10本/mmの特性値は、放射方向が0.75、同心円方向が0.65
空間周波数30本/mmの特性値は、放射方向が0.31、同心円方向が0.15
抜けは悪くないものの、やはり開放時の周辺部のシャープネスはボロボロ。
私がAPS-Hの1D Mark II Nで多用している
EF17-40mm F4L USMのMTF曲線は、
広角端絞り開放、画面中心より20mm時の、
空間周波数10本/mmの特性値は、放射方向が0.39、同心円方向が0.60
空間周波数30本/mmの特性値は、放射方向が0.08、同心円方向が0.10
これも絞り開放では0に向かってまっ逆さまです。
EOSシステムでフルサイズの広角ズームを開放付近で使う場合は
マウントアダプターとニコンのレンズを使った方がマシかもしれません。
Nikon G-Canon EF adaptorも出るようですし(笑)
さて、今日の写真は、大雪から2日たった日比谷公園の写真です。
EOS KissデジタルN + EF-S60mm F2.8 マクロ USM
絞り優先AE F8.0 シャッタースピード1/80秒 EV0.0
ISO感度100 分割測光
アスファルトの道路の雪は前日にほぼ消えていましたが、
土が剥き出しになっているところではまだ雪が残っていますね。
日比谷公園のミニ梅園と残雪。
そしてここにもスノーマンです。
EOS KissデジタルN + EF-S60mm F2.8 マクロ USM
絞り優先AE F2.8 シャッタースピード1/500秒 EV0.0
ISO感度100 分割測光
こちらはジュウガツザクラです…
…コフクザクラもですがまだ健在です。
昨年からポツポツと散発的に咲いていていますが、
ようやくこの規模の集合が咲きはじめました。