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月に叢雲 花に嵐

11月3日文化の日…
…と言うことで、
おおよそ文化的とは言い難い私ですが、少しは文化的なことを書いてみましょう。

最近、筆でもって(ヘタクソながら)漢詩やら和歌やらを書き散らすのがマイブームなわけですが、
これは、気に入った硯を手に入れたから…と言うのが理由です。

良い硯…と言うと端渓が有名ですが、私の硯は歙州硯(きゅうじゅうけん)。
中国安徽省の竜尾山周辺で採掘される石で造られる硯です。

硯…と言うとなにやら黒くて四角い学生の頃に使っていたアレを思い出しますが、
もとより、本来は天然石より切り出したものなので石の模様(石紋)は一面一面違いますし、
彫刻が施されたものもあります。
高いものではウン百万円もする硯もあるようですが、
私の硯はそんなに高価なものではありません。
それでも、墨をする感触はシャリシャリと心地よく、
洗う時は汚れがするりと落ちます。

本日はこの歙州硯の写真を…

硯_b0084270_22402621.jpg

Caplio GX8 焦点距離 5.8mm
絞り優先AE F値 2.5 ISO感度 64 シャッタースピード1/32秒
スポット測光 露出補正 EV0.0

大きさは縦15cmほどですが横幅があるので、日本の硯の大きさで五平…
…あるいは中国で言う6吋よりもやや大きい感じ。
半紙に書く分には十分な大きさです。

硯_b0084270_22595370.jpg

上のトリミングです

…蓮の葉の彫刻が施されています。
妙な黄色いまだらがこびりついていますが、これは金星と言う石紋です。

硯_b0084270_23282183.jpg

Caplio GX8 焦点距離 17.40mm
絞り優先AE F値 4.30 ISO感度 64 シャッタースピード1/90秒
スポット測光 露出補正 EV0.0 トリミング

石紋は水にぬらすとはっきり現れてきます。
このあたりは金星の他にも密度は薄いですが黒い魚子紋と言う石紋も出ています。

硯_b0084270_23283865.jpg

Caplio GX8 焦点距離 17.40mm
絞り優先AE F値 4.30 ISO感度 64 シャッタースピード1/90秒
スポット測光 露出補正 EV0.0 トリミング

端渓で言う金線のような亀裂が走っていますが、
墨をする邪魔になることはありません。
わかりにくいかもしれませんが斜めにうっすらと羅紋も出ています。
この石紋はかなり広範囲に見られます。

少量の水を墨堂にたらしシュルリシュルリと墨をすると、
泡立つことなく艶やかで漆黒の墨が得られ、
墨離れが良いのでお手入れも簡単です。
ちなみに墨離れが良くない硯でもメラミンスポンジを使えばきれいになりますが、
使うと小さくなるこのスポンジは目詰まりしそうで精神衛生上よろしくありませんね…

…とまぁこんなステキ硯なわけですが、
…せめて…この硯に見合う字が書けるようになろうねと…
まぁ、近頃は書家の先生も墨をすらずに墨汁で字を書いているわけですが(苦笑)


長き夜 シュルリシュルリと 墨をすり
シュリシュリと 心静かに 墨すりて、ものおもわるる 人生の秋

自作…長き夜は季語と言えるのか…とか、人生の秋…と語るには若造すぎる…とか…
「ものおもわるる」は自発の意味で「自然と物思いさせられる」…と言う意味にしたいのですが、
受身にとられると「(誰かから)ものおもいされる」…と言ううらやましい意味になるので、
「ものおもいせむ」と意思(「物思いしよう」)にしておいた方が無難だろうか…とか…
…古文文法の助動詞…苦手だったなぁ…(苦笑)


ちなみに、日本でおなじみの宮城の雄勝硯は、
歙州硯に近い特性を持っています。
金星のような石紋が出ることもあるのですが、
加工する段階で漆で黒く染めてしまいます…
もったいないような気がしますね。

日本でもいろいろ良い硯石があったようですが、
後継者の問題や採算の問題で難しいようですね。

写真ブログ
by murakumolabo | 2009-11-03 23:43 | 写真日記 | Comments(0)
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